あしたのジョー vol.1〜12 高森朝雄/ちばてつや
【漫画(男子向け)】
不動の、悪党ヒーロー。
DANO評価:★★★★★(満点は★5つ)
「ジョーはカッコイイ。」という評価は世間一般の主たる意見だと思います。
でも1巻(文庫本版)で登場する矢吹丈は、果てしなく小悪党で、屈折しています。
子供たちをひきつれては犯罪をおこし、とうとう監獄に送られてしまいます。
そこで力石やマンモス西たちとの出会いがあり、丈の強さを再認識するわけですが
偏屈でわがままであることは変わりない。
ではジョーのかっこよさってなんなのでしょう。
生まれながらの身体能力の高さと、不屈の精神。(負けず嫌い?)
それでも対戦相手の死で、テンプルに打ち込むことを恐れ、
一時はどさまわりの見世物ボクサーに身を落としてしまう。
強い相手との対戦のたびにジョーは少しずつ大人になり、戦い方も
人に対する態度も徐々に、変わってくる。
それでもジョーが妙に人間ぽい一面を見せるのは、ホセとの
対戦が終わり、
葉子にグローブを渡すシーン。
「あんたに持っていてもらいたいんだ...」
それは男女の愛とかそういうことではなく、いままで疎ましい存在でしか
なかった葉子をボクシングだけしかなかったジョーが、はじめて認めた
というシーンなんだと思います。
人間不信で、頑固、拳闘のことしか頭にないジョーは、天下無敵の
悪党ヒーローで、しかしその命をかけた不屈の精神はみなの心を
惹きつけてやまなかった。
ボクシングのことに詳しくなくても、「ジョーはカッチョイイ!!」と
思わざるを得ないという、不朽の名作でしょう。(2006.06.20)
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