ハツカネズミと人間 ジョン・スタインベック
【欧米文学】
DANO評価:★★★☆☆(満点は★5つ)
学生のとき、英米文学科であったDANOは
貧乏と英文読解能力不足に悩んでおりました。
この作品、「エデンの東」で有名なジョン・スタインベック
(1902-1968)の出世作で、渡り労働者のヒューマニズム
悲劇です。
カリフォルニアの農場を渡り歩く二人のむっさい男の
友情と世渡りなどが描かれているのですが、
まず、「すんごい訛って」ます。
大男で少し頭のにぶいレニーは、ねずみや子犬など
小動物が大好きでいつも触っていたいのだが、
その哀しき馬鹿力ゆえ、すぐ殺してしまう。
良き友であり男気のあるジョージは、レニーを
疎ましく思いつつも放っておくことができない。
レニーが死んでしまったハツカネズミをいつまでも
隠しもっていることに気づき、叱り飛ばす。
そしてがっくりうなだれたレニー。
「ねずみはちっちぇえからいけねえんだ。ウサギなら
そんなにちっちゃかねえよ。」
(大浦暁生訳:参照)
...こんな具合に原文も、レニーは訛る。
どう約せばいいのだ、と学生DANOは愕然としました。
テレ東特番でよくやる、UFO見た!系の番組で
カントリーな外国人の吹き替えを東北訛りにする技が、
大学の講義で必要になるとは... それはともかく、この作品は純粋にとても感動します。
かつてアメリカに根強く残っている人種差別や
貧富格差を色濃く描いている作品。
悪気はなくても、罪を犯してしまうレニー。
常識もモラルも兼ね備えたジョニーの友情と正義の葛藤。
日本人でレニー役をやるなら、でっかちゃんかウド鈴木
にやってほしいなぁ。(2006.04.30)
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